『グリーン・フェアリー』 by のじま



サクサクサク。

砂を踏みしめ、キミが歩いて行く。

右手に麦わら帽子、左手にはミュールを持って。

サクサクサク。

僕も砂を踏みしめて歩く。

キミの足跡をわざと踏んで。

キミの歩幅は、こんなに小さいんだね。

ミッションの時は、どれだけ無理をして僕たちに着いて来てくれているのか、本当に良く分かるよ。

サクサクサク。

微笑みを浮かべながらキミが歩く。

髪の毛をまとめた小物から、服まで、今日のキミは全て緑。

爽やかなグリーン。

涼しげに開いた背中で首のリボンが揺れるけれど、それは可愛いんだけれど、僕はその度に不安になる。

そのリボンがそのうち大きくなるんじゃないだろうかって。

大きくなって、羽になって、このサマーブルーの空に飛んでいってしまうんじゃないだろうかって。

だから時々呼びかける。

「フランソワーズ?」

キミが振り返って微笑む。

「どうしたの?ジョー」

「あっ、いや、なんでもないよ」

まぶしい笑顔に、つい焦ってしまう。

「変なジョー」

クスクスと笑いながら歩き出したキミの後を、また僕は歩き出す。

サクサクサク。

砂を踏む音と、波の音だけが響いて…。

「ねえ、ジョー。まだ撮るの?」

再び振り向くキミ。

フランスのお兄さんに送ってあげようよ、だからデジカメで撮らせてくれないかい?と頼んだのは僕で…。

「うん。フランスに送る分の良いショットは撮れたから、今度は僕の分を撮ろうかな?」

「まだ一人で歩くの?」

不満そうなキミに僕はゆっくり近づいていく。

「うん。僕のこの瞳にね、焼き付けたいんだ…」

そう言う僕の腕に、キミが腕を絡めてくる。

「だったら私にも焼き付けさせて。一人だけなんてずるいわ」

サクサクサク。

今度は二人並んで歩き始めた。

こうして手を繋いでいる限り、キミは絶対飛んでなんか行きはしない。

ずっとこうして一緒に歩こうねって約束したんだから。

フランソワーズ?

キミは僕だけの、大切な人だよ。

だから、妖精になって飛んで行ったりしないで。

お願いだよ?

フランソワーズ…。



「上昇気流」ののじまさんが8/4の日記絵に素敵なテキストをつけて下さいました♪
わあい妖精さんだ妖精さん〜(踊)…って
ちょっおまっどっから沸いて出やがったしまむー!?(大慌て)
↑いると思ってなかったので動揺しまくり(涙)

…実は残暑見舞いとして大分以前に貰ってたのですが
残暑どころかすっかり秋になってるぞ>自分(怒)
ももも申し訳ありませんです〜〜〜(涙)>のじまさん
どうもありがとうございましたっm(__)m


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