『祭囃子』 by Nojima


 ねえ、ジョー。ジェットにあんなウソついて良いの?
「良いんだよ。本人結構気に入っているみたいだしさ」
 でも嘘がばれたら、怒るわよ。
「その時はその時だよ。水風船釣ってあげようか?何色が良い?」
 もう、呑気なんだから。
 ほら、ジェットに誰かが話しかけているわ。
 騙したことばれちゃったみたいよ。
 ジェットがお面とハッピを脱ぎ捨てて走ってくるわ。
「ジョー!てめぇ!!」
 駆け寄ってくる足音。
「本格的にやりたいって言ったじゃないかぁ!」
 逃げ出す音がそれに重なって・・・。
 カタカタカタカタ、カタタタタッ。
 『能力』を使わないと見えない所まで二人は行ってしまった。
「騙す方も騙す方だが、騙される方もどうかしてるな」
 呆れ顔のハインリヒの手には、拾い上げられたお面とほんの少し汚れてしまった大きなハッピ。
「そうね、でもまるでああやっていると二人って兄弟ね」
「と言うより、大型犬と中型犬がじゃれ合っている風だが」
「そんな事聞いたら、今度は二人に怒られるわよ」
「事実を述べただけさ。ほら帰ってきた。大型犬の方は引き受けるから、中型犬の方のリードを しっかりと掴んでおけよ」
 人混みの中、聞き馴染んだ足音が駆け戻ってくる。
「フランソワーズ!助けて〜!!」
「待てぃ!ジョー!!」
「いい加減にしろジェット。浴衣はきちんと本式なんだから、文句はあるまい?」
「そうよ。あなたの体型に合った浴衣を探すのは、大変だったんだから」
「それは恩に着るけどよ。このいたずら坊主が」
 私の後に逃げ込んだジョーを、ジェットがギロリと睨み付ける。
「向こうに日本酒を飲ませる屋台があったぞ。ジョーの国の味を堪能しようじゃないか?」
「走り回って喉が乾いたからそうするか。ジョー、研究所に帰ったら覚えてろ」
 二人が連れ立って私達から離れていく。
 その方向から、黄色い悲鳴やざわめきが聞こえるのはいつものこと。
 二人ともとっても目立つもの。
「ありがとう、フランソワーズ」
 私の後から照れ笑いを浮かべながらジョーが出てきた。
 そう言うあなたも目立つ方なのに、気が着いているのかしら?
「ちょっと・・・やり過ぎちゃったかな?」
「そうね」
 クスクスと笑う私の手を取って、ジョーが歩き始める。
「キミには嘘はつかないからね、日本の夏を教えてあげるよ」
 そう言って指さした先は、私の知らない和の世界。
 本当ね、絶対嘘はつかないで。
 だって私、これからもあなたの国で季節を重ねて行きたいんですもの。



のじまさんから小説いただきました!ありがとうございます〜(踊)
元ネタはコレっす、『お祭り見物の図』♪

このジョーとジェットって新ゼロの二人ですね、ジェット兄貴と弟分ジョーくん(笑)
「大型犬と中型犬」・・・アル兄さまな〜いすっ(笑)
にしてもあああああフランちゃんたら〜〜〜!
わかってない、わかってないわっっ、だって一番目立つのは貴女なのにいいいいいい!!!犬の心配してる場合じゃないのよう〜〜〜(しくしくしく)

・・・でもってジョーくん、わかってるわねっ?
教えてあげるのは「日本の夏」だけよっっ!?
それ以上の事考えたらたらたら〜〜〜・・・めみさんが怒るぞ<オイ(笑)


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